みなさん、突然ですがトップスピードという言葉をご存知でしょうか?そんな言葉、余裕で知っているよという方、ではそれは具体的にどんなものか、しっかり説明できますか?例えば、100m走る時、あなたは普段どこでトップスピードに到達しますか?それはどのくらいの長さ続きますか?トップスピードにどこで達するのが理想的ですか?それを実現するために、日々どんな練習を実践していますか?これらの問いに、スラスラと答えられたあなた。あなたは見事、トップスピードマスターです!!(笑)とまあ、トップスピードと言っても、かなり奥が深い、、、というか、スポーツって、とりわけこういう曖昧な言葉が多くないですか!?そして一人歩きしていますよね。ShoesPickでは、このように陸上界にはびこる「それっぽい言葉(笑)」に対して、ShoesPicksなりにしっかりと答えを導き出し、少しでもイメージ、理解を深めてもらえればと思います!!①トップスピードがタイムに与える影響についてまずは、トップスピードがタイムそのものに与える影響について考察して行きましょう。 結論から言うと、トップスピードがタイムに与える影響は、めちゃくちゃ大きいです!もう、トップスピードでタイムが決まると言っても過言ではありません。 なぜここまで確信を持ってこんなことを言うことができるのか。それは、トップスピードとタイムの関係は非常に強い相関があると言うことが証明されているからです!まず、下図をご覧ください。下図は、2015年に行われた、世界陸上北京の100mのタイムと、そのタイムを出した選手のトップスピードとの相関関係をグラフにしたものです。縦軸(トップスピード)と、横軸(100のタイム)との相関を示した図です。そして、これに単回帰分析の式を適用することで、縦軸(トップスピード)と、横軸(タイム)の相関関係を導き出して行きます。(かなりサンプルが少なめですが、そこはご容赦いただけますと幸いです、、、)この結果、単回帰分析上で、Rの値は、0.9763!すなわち、非常に強い正の相関があると言えるのです!(通常、単回帰分析では、Rの値が、0.4を超えると相関があると言われているので、これは非常に強い相関があると言えますね!)ここでは、単回帰分析の説明は難しいので省きます。ここで僕が言いたいのは、数学的分析を用いることで、「なんとなく」とか、「直感的に」ではなく、「事実として」相関があることが証明されたと言うことが伝えたかったのです!要するに、サイエンスによって超確実に証明されたわけです。②トップスピードは、ぶっちゃけ到達位置で決まる!ここまでは、トップスピードが走りのタイムに与える影響について見ていきました。そんな大事なトップスピード ですが、ではなぜトップスピードがそこまでタイムに大きな影響を与えてしまうのでしょうか?(そんなの当たり前だろ!と思っているあなた。ちゃんと説明できますか??)一緒に考えていきましょう!まず、下図をご覧ください。この図は、縦軸と横軸の関係を表した図になります。すなわち、このオレンジ色で括った面積が大きければ大きいほど、タイムが速いということになります。実際には、加速力、トップスピードはピカイチでも、後半に激しく減速してしまうというような例外的な場合によって、下図のようなことも起こり得るとは思いますが、実際にはこのようなことは100mでは起きづらいので今回は考えないようにします。(笑)※400m走や、長距離などでは十分あり得ることですが!少し大げさですが、下図の場合、赤線のスピード曲線を描いた選手は、トップスピードは勝っているが、最終的な100のタイムは負けています。ですが、本当にこのようなことは起こりづらいとされていますそれは、人間の加速率と、スピード維持率の観点から説明できます。結論から言ってしまうと、加速の長さが長ければ長いほど、100のトップスピードには大きな差が生まれることがわかっています。これはすごく単純な話で、加速率に大きな差がないのだとしたら、単純に加速時間が長ければ長いほどトップスピードが大きくなるということです!実際に、タイムが速ければ速いほど、トップスピード到達点が後方にずれる傾向があるのです。下図は、桐生祥秀選手のタイム別のスピード曲線です。(出典:https://www.jaaf.or.jp/news/article/11327/)この図から見てもわかるように、0~30mにかけてのスピードの差には特に大きな変化は見受けられず、代わりに30以降の加速し続けていることがわかると思います。つまり、なぜトップスピードが早いほどスタートの到達点が後ろにずれるのかというと、加速力というよりは、加速時間によってトップスピードが決定される傾向が強いからなのです。これは、桐生選手以外でも同様の傾向が見られます。下図は、2015年に行われた世界陸上北京の100mの選手別スピード曲先をグラフで可視化したものです。(出典:https://陸上.com/rt-top-speed/)最もタイムが早いウサインボルト選手は、80m近いところでトップスピードに達していることがわかると思います。これは、同様に世界トップクラスのスプリンターであるジャスティンガトリンにも似たようなことが言えます。これに対して、日本人選手は40~60m地点でトップスピードに達している選手が多いことがわかります。この区間を超えても加速し続けることで最終的なトップスピードが高まり、後半の減速の影響を最小限に抑えることができるわけです。③まとめ今回は、トップスピードについて見て行きました。トップスピード一つとっても、かなり奥が深いですよね。単純にトップスピードだけを見るのではなく、そこに時間の概念を加えてみるだけでここまで見え方が変わってくるのです。 最後のまとめとして、この記事の内容を簡単におさらいしましょう。この記事で言いたかったことは下記2点です。・トップスピードが走りに及ぼす影響は非常に大きい・トップスピードは、瞬間的な加速力というよりも、加速の持続時間の長さによって決まる。では、トップスピードをより高めていくために、加速時間を伸ばすためにはどのような練習をすればいいのか?その話はまた次回の記事で書いていこうと思います!!