目次砂浜練習の特徴とは?練習メニューの紹介1<ドリル系>練習メニューの紹介1<ドリル系>まとめ①砂浜練習の特徴とは?具体的な練習方法の説明に入るより前に、まずは砂浜の特性について考えてみましょう!砂浜練習の特徴は、大きく分けて二つです。砂浜は反発を吸収する砂浜は滑る1-1.砂浜は反発を吸収するみなさんは、一度でも砂浜や砂場の上で走る練習をしたことがあるでしょうか?砂浜は普通の地面と比べて、流動性が高くすぐ変形してしまう性質を持っています。そのため、コンクリートやタータンと比べて、クッションのように衝撃を吸収してしまいます。このため、反発と進展を利用して走る人間の走り方では、反発を受け取ることができず、非常に走りづらいと感じるでしょう。ぬかるみのように足が取られ、また反発も得ることが難しいため、力を入れて走っている割に、身体が前に進まない実感があると思います。1-2.砂浜は滑る 次に、砂浜は滑るという話をしていきます。みなさんは、ビーチフラッグスや、スタート練習などを砂浜で行ったことがありますでしょうか?その際に、足で踏ん張りきれずに転んでしまったなんて経験はないでしょうか? 砂浜の最も大きな特徴は、通常のコンクリートやアンツーカ、タータンと比べて、「力を加えると大きく変形する」ことです。これによって、軸脚が接地した時、力を吸収してしまったり、また押し込もうとした時に滑ったりします。 これによって、地面の反発の代わりに地面を押し込んで進もうとした時、足が滑り、砂を巻き上げてしまうなんてことがよくあります。※様々な地面での反発をまとめた興味深い記事もSmartDashでは掲載しております!詳しくはコチラ1-3.地面から反発を効率よくもらいながら走らないと進めないそれでは、砂浜でどのように走れば上手に走ることができるのでしょうか。それは、下記の3つを意識することが必要です。接地で得た反発を効率よく受け取る受け取った反発の力を効率よく前に変換する接地時間を出来るだけ短くする、地面に加える力を出来るだけ大きくする。 人間は、パワーポジションというある決められたポジションで力を加えることで、効率よく反発を受け取ることが可能になります。パワーポジションについて解説した記事はコチラ また、受け取った力は鉛直方向の力ですので、この力を前に変換する必要もあります。これを、SmartDashでは反発と進展理論と呼んでおります。 コチラの技術を高めることによって、必ずしも多くの力を受け取れなかったとしても、比較的ラクに身体を前に進めることが可能となります! 最後に、接地時間を出来るだけ短くする、地面に加える力を出来るだけ大きくすることで効率よく前に進むことが可能です。これはなぜでしょうか。 この記事で何度か説明しているように、砂浜は通常走る他の地面と比べて、極めて変形しやすい特徴を持っています。これを攻略するには、瞬発的に力を加え、変形する前に地面から離れる必要があります。 すなわち「ダイラタンシー現象」と似たような現象を起こす必要があるのです。ダイラタンシー現象とは、下の動画のような現象のことを言います。%3Ciframe%20width%3D%22560%22%20height%3D%22315%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2FGPaLU0lXjWc%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%22%20allowfullscreen%3D%22%22%3E%3C%2Fiframe%3E出典:Youtube 「米村でんじろうサイエンスプロダクション」引用すると、下記のようになります。”不溶の粒子が特定の割合で混合された液体の粘性率が、外部から力(剪断応力)を加えられることによって増加し、固体に変化する現象のこと”(出典:https://www.weblio.jp/content/ダイラタンシー現象)実際に砂浜で起こっている現象は、ダイラタンシー現象ではありませんが、非常に似た現象が砂浜の上では起きています。山縣選手がおっしゃっているような、「熱い鉄板の上を走る感覚」とも関係がありそうですね。実際に、100mで後半の速い選手と遅い選手との1番の違いは、進行方向への力ではなく、鉛直方向への力の差であるということがわかっています。リンク上記のような接地が可能になれば、コンクリートなどで走る時と同様に、衝撃が頭の上まで抜けていくような感覚や、砂浜にも関わらず硬い地面を走っているような感覚で走ることが可能です。②練習メニューの紹介1<ドリル系> 長い前振りとなりましたが、やっと本題に入っていこうと思います!まず、砂浜練習で行うメニューは、ドリル系メニュー、スプリント系メニューの大きく二つに分類されます。ここでは、まずドリル系メニューについて説明していきます。 ドリル系メニューとは、読んで字のごとく、技術系の練習ですね。コチラの練習は、非常にシンプルです。 ひたすらジャンプしとけ!これに尽きます笑 なぜジャンプなのか?理由は非常にシンプルです。それは、砂浜練習で最も鍛えることができるスキルが、「地面からの反発を効果的に受け取ること」だからです。クッションのようになっていて、ジャンプしづらいからこそ、ジャンプするのです。笑 もっというと、力任せに跳ねることは厳禁です。あくまで、地面の反発を利用してジャンプするのです。 そのため、単発系のジャンプではなく、連続ジャンプを用いた練習をメインに行うことが望ましいです。2-1.メニュー一覧連続ジャンプ%3Ciframe%20width%3D%22560%22%20height%3D%22315%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2FZhJVH1JZjIw%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%22%20allowfullscreen%3E%3C%2Fiframe%3Eバウンディング%3Ciframe%20width%3D%22560%22%20height%3D%22315%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2FrDY8g_-eBD4%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%22%20allowfullscreen%3E%3C%2Fiframe%3Eこちらの、動画冒頭で行なっているやつです。ホッピング同じく、上記の動画の、27秒から行なっているやつです。腿上げ%3Ciframe%20width%3D%22560%22%20height%3D%22315%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2FNZ-vMP_Zd8w%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%22%20allowfullscreen%3E%3C%2Fiframe%3Eこちらも砂浜だと素早く入れ替えるのに苦労しますが、淡々と素早くこなしましょう!番外編:体幹強化系・複合系<メニュー一覧>手押し車逆立ち歩きジャンプ腕立て伏せビーパージャンプダイナマックス↓%3Ciframe%20width%3D%22560%22%20height%3D%22315%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2FMfcpR6Kb3ro%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%22%20allowfullscreen%3E%3C%2Fiframe%3E 余談ですが、上記のようなトレーニングも、砂浜の上で行うと非常に効果的です。砂浜の特徴を活かして鍛えられるものがもう一つあります。それは、「体幹維持能力」です。砂浜は、地面が変形し、凸凹しているため、例えば手押し車などは非常に効果的です。 安定しない地面の上で手押し車を行うことで、体幹が様々な方向に歪みます。それを耐えるために体幹を利用しなければなりません。このような練習をすることで、様々な局面に応じてもブレない体幹を目指すことができます。 複合系とは、上記のジャンプ系のトレーニングと体幹系トレーニングとを併用して行うことのできるトレーニングのことを言います。 例えば、ビーパージャンプや、ダイナマックスなどがあります。※これらのメニューについては、今後の記事で説明していこうと思います。③練習メニューの紹介1<ドリル系>3-1.メニュー一覧短距離系スプリントトレーニング80m~120m走シリーズ走(40m~120m)の組み合わせ※始点の距離、終点の距離は自由にカスタマイズ可150m走(単発)短長系(200m〜400mスプリントトレーニング)100m~200m走シリーズ走(80m~250m)の組み合わせ150m走(単発)※シリーズ走とは? いわゆるインターバル走のことです。大きく異なる点は、走るたびに距離が伸びていくことです。 例えば、40m〜120mのシリーズ走であれば40m走→スタートラインに歩いて戻る→50m走→スタートラインに歩いて戻る→60m走→スタートラインに歩いて戻る….を120mになるまで続けます。かなりハードです笑 また、「始点の距離、終点の距離は自由にカスタマイズ可」とは、シリーズ層を50m始まり、120m終わりにしても構いませんし、練習強度によっては、80m始まり、150m終わりなど、自由に設定して構わないということです。 次に、スプリント系トレーニングについて解説していきます。スプリント系トレーニングとは、全章で述べたドリル系トレーニングで養った感覚や技術を、走りに応用するために行うトレーニングです。 これらのトレーニングで意識する点は大きく分けて2つあります。ドリルで意識した点を意識しながら走るそれらの技術を、長い距離でも維持して走る3-2.ドリルで意識した点を実践しながら走るコチラは非常にシンプルです。ただ、ドリルでやったものを走りで意識するだけです。地面の反発を効率よくもらうこと、接地を短く、効率よく前の力に変換することを意識しながら走りましょう。(これらの方法は、コチラの記事で解説しています。)とはいえ、シンプル=イージーというわけではありません。要求されていることは必ずしも簡単ではないでしょう。簡単にできることは何一つないとは思いますが、地道に続けていくことで成果が目に見えてきます。一つの目安として、砂浜で走る時の感覚が激変します。具体的には、硬い地面を走っている時と同じような感覚で走ることが可能になるのです。 こういうと少し胡散臭いですが、本当です。笑 また、上記の記事でも説明しているように、接地時間が短くなるということは、滞空時間が同じだとしても、接地時間分短くなるということなので、ピッチが大きく向上していきます!ぜひ、ドリルと走りを何度も練習して、ギャップを埋めていきましょう!3-3.それらの技術を、長い距離でも維持して走る スプリント系のトレーニングを行う時に、最も大事であると言えるのがこのポイントです。砂浜で練習を行う際に最も重要となってくるのが、長い距離を走ることです。すでに長い距離が苦手な選手の皆さんはこの記事を読んで苦い表情を浮かべているに違いありません。笑でも、これは非常に重要なのでもう一度言います。砂浜で行う練習の中で速くなるために最も効果的な練習は、普段よりも少し長めの距離を走ることです。具体的には、100m走の選手であれば、砂浜練習では、80mから150mくらいは最低限走りましょう。また、200m、400m、800mの選手は砂浜練習では、120m〜250mを走るようにするといいです。では、なぜこの距離を走らなくてはいけないのでしょうか?理由は大きく分けて二つあります。一つは、筋持久力の向上です。これを理解するためには、人間がきついと感じるメカニズムが関係してきます。人間が運動する際のエネルギーの生み出し方として、3つに大きく分類することが可能です。(かなりざっくり話しているため、厳密には異なります。)ATP PC系(10秒以内の爆発的なエネルギー生成)解糖系(10秒すぎから 40秒前後のエネルギー生成)酸化系(それ以上長い時間に必要な緩やかなエネルギー生成)つまり、これらのどれを強化したいかによって、必要になってくる走る距離と、メニューが変わってくるということです。(今回このトピックについて話すのはあまりにも長くなってしまうため、一旦省きます興味のあるかたは、この記事を参考にしてみてください!)特に、その中でも、200m〜400mを走るときに必要になる、解糖系のエネルギー生成を持続させる力を鍛えることができるため、これらの距離を走ることが非常に重要です。また、100m選手にとってもこれは重要であり、ちょうど100mの後半はATP PC系と解糖系の境目の局面になってきます。リレーのバトンパスとかはもろにこれですね。2つめは、質の高いフロートの技術および持久力が会得できるからです。フロートとは、一定の速度で走りを保つ技術のこと(減速も、加速もしない状態)を言います。フロートをスムーズに保ち、フロート時の最高速度を極大化させることこそが、短距離を速く走るために欠かせない技術となってきます。では、なぜフロートという技術がそこまで重要になってくるのでしょうか?それは、質の高い(速度が速い)フロートを維持して走る技術こそが、自身のタイムの結果の8割を占めていると言っても過言ではないからです。まず、短距離種目において、勝負を大きく左右する要素は何なのでしょうか?SmartDashの見解としては、後半の局面こそが、短距離走におけるタイムの大きく影響が出ると考えています。先ほどから説明しているように、100mが速い選手ほど、トップスピードの到達点がゴールに近い地点に到達することがわかっています。(厳密には、65〜75m周辺)そして、他の研究では、100mのタイムが速い選手ほど、後半に行くにつてれ、推進方向への力ではなく、地面の鉛直方向の力の減衰が小さい結果になっていることがわかっています。(詳しくはコチラ) つまり、先ほど述べたように、大きな反発を地面からもらい続け、それを前の力に変換すること(反発と進展)を、いかに後半の局面も維持して継続することができるかこそが短距離で結果を出すための1番の要因になってくると考えられます。これを実現するためには、砂浜の練習がとても効果的です。砂浜で効率よく反発を貰う動作も同様に、砂浜での100mの後半、200mの後半にも継続して走ることを意識してみましょう。ずっと説明しているように、砂浜は変形しやすいので、後半疲れてきて反発をうまくもらえなくなると、それまでアスファルトのようにしっかりと反発をもらえていたにも関わらず、急にぬかるみにハマったように足が地面に埋まり出します。体幹を締め、股関節を大きく俊敏に動かし続け、接地を極限まで短くする必要が出てくるのです。これを意識しながら200mを走ることができれば、短距離のタイムは大きくのびることができるようになるでしょう。動画を見るここで一度、筆者の砂浜での走りを見てみましょう。(笑)下記の点に注意してみてください!ピッチが周りと比べて速い(短い接地)後半になってもピッチが落ちない(フロート)後半になるほど他走者との差が開いてく(質の高いフロート)※筆者は周りの選手よりも実は頑張らないで走っています。にも関わらずスピードが出ています。逆に周りの選手は、短い接地を意識できていない&前半で速く走ろうと頑張りすぎたため、後半に疲れてしまい、失速しています。④まとめ皆さんいかがだったでしょうか。今回は中々にボリューミーだったため、頭がパンクしそうになった方は、休憩を挟んで、ゆっくりと読み進んでいただけたらと思います!今回は、前回の記事に引き続き、砂浜練習の効用について話していきました!いかがでしたでしょうか?ぶっちゃけ皆さんもやった事があるメニューばかりだったと思います。笑 とはいえ、今回の記事の解説などを通して、練習の意味を理解して取り組むと、効果は激増します。 何となくキツいからやった方がいいのかな?と言うことではなく、効用を理解し、目的が明確になった事が、これから練習をおこなっていく上で重要になってくると思います! 全ての練習に共通しているのですが、練習やメニューで得られる効用というのは、試合で出せる成果のおそらく2割程度しか起因していないです。 大事なのは、そこに目的を持って取り組む事です。目的、効用を理解して練習に取り組む事こそが、その練習の効用を何割にも増大させ、試合で出せる結果の8割の要因となるはずです! ぜひ、SmartDashの練習記事を読んでいただけているのであれば、この、「目的」を持って、練習に取り組んでいくという感覚を覚え極めていってほしいと思います。それでは、また別の記事でお会いしましょう!要点:砂浜練習の効用その1 反発を効率よく受け取る技術を会得できる砂浜練習の効用その2 その1の技術を、走りの後半でも維持する練習ができる(ズレた時、普通の地面で走る時よりも確認しやすい)砂浜ドリルは、反発系の練習がもっとも効果的スプリント系トレーニングは、長めの距離を多く取り入れるべし(ただし、この限りではない)砂浜の地面は、体幹系トレーニングなど、その他の利用方法も多数存在する。練習メニューは、「何をするか?」ではなく、「なぜするか?」が重要